花田少年史「花田少年史第12集 PPS的時間是11分49秒 22分12秒」
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登場人物:
春彦=かん
医者=謝
春彦の父=劉
春彦の母=陳(台中)
おばけ=曾
春彦の妻=曾
店の親父=謝
主役(花田)=陳
看護婦=陳(台中)
花田の母=陳(台中)
花田の父=謝
花田のお爺さん=劉
子供/男=かん
子供/女=曾
春彦(はるひこ)の父(ちち): 春彦(はるひこ)、春彦(はるひこ)
医者(いしゃ): これはかなり危険(きけん)な状態(じょうたい)です。
春彦(はるひこ)の父(ちち): 先生(せんせい)
*春彦(はるひこ)の母(はは): 春彦(はるひこ)さん。
医者(いしゃ): ただ、輸血(ゆけつ)も点滴(てんてき)も再開(さいかい)できましたし、この峠(とうげ)を乗(の)り越(こ)えてくれれば何(なん)とか。
春彦(はるひこ)の父(ちち): えっ、がんばれ、春彦(はるひこ)、さっきまでの元気(げんき)はどうした。
医者(いしゃ): 不幸中(ふこうちゅう)の幸(さいわ)いと言(い)ったら、不謹慎(ふきんしん)だが、こんな状態(じょうたい)になってくれたおかげで、やっと本来(ほんらい)の治療(ちりょう)ができる。
おばけ: うーん。見(み)たところ、70%ぐらいその体(からだ)になじんで来(き)てるわね。100%になるのも時間(じかん)の問題(もんだい)だわ。
主役(しゅやく)(花田(はなだ)):そしたら、おいら死(し)ぬの?
おばけ: そうねー。このままだとそうなるわね。
主役(しゅやく)(花田(はなだ)):春彦(はるひこ)のくそったれめ。とっとと戻(もど)って来(こ)いよ。早(はや)く体(からだ)を交換(こうかん)して、元(もと)のおいらに。
おばけ: 気(き)の毒(どく)だけど、いちーろう。ムッシュ(むっしゅ)春彦(はるひこ)は帰(かえ)って来(こ)ないかも。
主役(しゅやく)(花田(はなだ)):えー。
おばけ: 春彦(はるひこ)は戻(もど)ってこないって、言(い)ったのよ。
主役(花田):じゃ、おいらはどうなるのさ。
おばけ: このままその体(からだ)に負(ま)けて死(し)ぬか、それとも自分(じぶん)の意思(いし)を強(つよ)くもって、気力(きりょく)でその体(からだ)を生(い)かすか。2つに1つ。もっとも、死(し)んでお化(ば)けになっても、私(わたし)にみたいに楽(たの)しくやれるけどね。
主役(花田):はー、はー。
春彦の妻: ここにおいてほしいって。家(いえ)に帰(かえ)らないって言(い)うの?
主役(しゅやく)(花田(はなだ)):ここでなっちゃんを見守(みまも)れるなら、何(なん)でもする。お願(ねが)いだから。
春彦(はるひこ)の妻(つま): あっあー、うーん。
春彦:僕(ぼく)は思(おも)いを残(のこ)さず死(し)ぬためにここに来(き)たんだ。でも、今(いま)はどんなことをしても君(きみ)と夏(なつ)のために生(い)きたい。
店(みせ)の親父(おやじ):あはっ、はっ、はっ、はっ、夏(なつ)は、ぼうずごときに守(まも)ってもらうほど弱虫(よわむし)じゃないよ。なにしろうちのなっちゃんは、相手(あいて)が小学生(しょうがくせい)だって、けんかを売(う)られたら、かうんだぞ。おい、ぼうず、親父気取(おやじきど)りもいい加減(かげん)にして、うちに帰(かえ)りな。
春彦(はるひこ):ちがう。
店(みせ)の親父(おやじ):ほんとにおかしな坊主(ぼうず)だな。まさか家出少年(いえでしょうねん)じゃないだろうな。
春彦(はるひこ):違(ちが)う、違(ちが)うんだ。僕(ぼく)はなっちゃんの父親(ちちおや)なんだ。
春彦(はるひこ)の妻(つま):僕(ぼく)、家に帰(かえ)りにくいなら、一緒(いっしょ)に行(い)ってあげようか。
店(みせ)の親父(おやじ):坊主(ぼうず)、名前(なまえ)は?おい、ちょっと警察(けいさつ)に問(と)い合(あ)わせてみろよ。
春彦(はるひこ)の妻:あっ。あーっ!
春彦:いーっ、ひっ。
春彦の妻:あっ。あーっ
店の親父&母:おーっ。おっ、あーっ、あー。
主役(花田):(春彦と同時に)いっ、いっ、いっ、いっ・・・・・・・・・・・。
春彦: 僕(ぼく)がなっちゃんを守(まも)るんだ。僕(ぼく)が、僕(ぼく)の手(て)で。他(ほか)の誰(だれ)でもなく、僕(ぼく)が守(まも)りたい。いっ、いっ、でっ、だめだ、この体(からだ)では、この子(こ)を抱(だ)いて走(はし)ることもできない。僕(ぼく)には僕自身(ぼくじしん)の体(からだ)が必要(ひつよう)なんだ。
主役(しゅやく)(花田(はなだ)):いっ、いっ、いっ、いっ、でっ、はー、はー、はー。
主役(花田):いっ、いっ、でっ、いっ、いっ・・・・・。
春彦: だめだ、この体(からだ)では、この子(こ)を抱(だ)いて走(はし)ることもできない。僕(ぼく)には僕自身(ぼくじしん)の体(からだ)が必要(ひつよう)なんだ。
春彦(はるひこ)の妻(つま): 僕(ぼく)、ごめんね。うちの子(こ)にはしてあげられないけど。なっちゃんなら、いつでも遊(あそ)びに来(く)ればあえるわ。毎日(まいにち)でも。そーうだ。今度生(こんどう)まれ変(か)わったら、僕(ぼく)のことなっちゃんのお兄(にい)さんに呼(よ)んであげる。
主役(しゅやく)(花田(はなだ)):そんなのごまかしてるだけだ。
春彦の妻: はっ。
主役(花田):今度(こんど)はないよ。から。一生(いっしょう)はやっぱり、一度(いちど)っきりだ。僕(ぼく)はわかったんだよ。君(きみ)に答(こた)えられなかったことが、死(し)に直面(ちょくめん)したときにやっと。
春彦(はるひこ)の妻(つま): あなたは何(なに)が大切なの?
主役(しゅやく)(花田(はなだ)):僕(ぼく)はずっと自分(じぶん)の意思(いし)で生(い)きることを放棄(ほうき)してきたんだ。家(いえ)を保(たも)つための飾(かざ)りに甘(あま)んじて。でも、そんなこと誰(だれ)だっていいんだ。僕(ぼく)じゃなくても。僕(ぼく)にとって、大切(たいせつ)なことは僕(ぼく)が僕(ぼく)であること。この街(まち)で君(きみ)と暮(く)らしたことだけが。それだけが、僕(ぼく)が僕(ぼく)の意思(いし)で生(い)きてきた時間(じかん)だったんだ。25(にじゅうご)年間生(ねんかんい)きてきて、僕自身(ぼくじしん)が望(のぞ)んだのは、カナ(かな)、君(きみ)だけだ。
春彦の妻: あっ。
主役(花田):僕(ぼく)は自分(じぶん)を取(と)り戻(もど)してくる。
春彦(はるひこ):カナ(かな)、僕(ぼく)は死(し)ぬために戻(もど)るんじゃない。生(い)きるために。僕(ぼく)の体(からだ)はまだ持(も)っているだろうか。一郎君(いちろうくん)、君(きみ)は、まだ、無事(ぶじ)でいてくれているだろうか。
主役(花田):(春彦と同時に)はっ、はっ、はっ、はっ、あっ、
おばけ: 遅(おそ)かったじゃない・ムッシュ(むっしゅ)春彦(はるひこ)。
主役(しゅやく)(花田(はなだ)):まっ、まさか、いちろう君(くん)は僕(ぼく)の体(からだ)を抱(かか)えたまま、あの世(よ)に。
おばけ: んーーーん、はーーーーっ。
主役(花田):うあーーーーっ。
[[ 続く ]]
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